自民党は参院選に向け、32ある改選数1の1人区へのテコ入れに力を注いできた。全てで野党統一候補と対決し、その趨勢(すうせい)が全体の勝敗を大きく左右するためだ。特に平成28年の前回参院選で1勝5敗だった東北6県は今回も苦戦を強いられており、公示初日から党幹部を集中的に投入した。
「規制緩和のため全力を尽くした。福島の農産物の輸出は過去最高になった」
安倍晋三首相(党総裁)は4日、第一声の場に福島市内の果樹園を選び、各国による被災地の農産品輸入が再開している実績をこうアピールした。
自民は28年参院選の1人区で21勝11敗だった。前々回の25年参院選の29勝2敗(当時は31選挙区)と比べれば野党の善戦を許した。安倍政権による環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)推進の方針で農業票が離れたことも背景にある。
今回は前回敗れた11選挙区に滋賀や秋田など5選挙区を加えた16選挙区を「激戦区」に指定。前回、東北6県で唯一勝利した秋田は今回、秋田市内の自衛隊演習場が候補地となっている地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」配備計画をめぐる防衛省の調査ミスで逆風下にある。
応援弁士として人気の高い小泉進次郎厚生労働部会長は4日、秋田県内を回って支持を訴え、岸田文雄政調会長も駆け付けた。「東北はどこも危ない」(党幹部)との危機感が広がる中、小泉氏は5日も岩手県を回る。
二階俊博幹事長は4日、接戦が予想される山形県に入った。今後も甘利明選対委員長ら幹部が続々と東北入りする予定だ。今回改選を迎えるのは自民が大勝した25年の当選組で、党幹部は「6年前ほどの勢いはない。減少幅をどこまで食い止められるかの勝負だ」と語る。(長嶋雅子)
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